これから開発が進む地域だと聞かされ、ローンを組んで新築マンションを購入しました。ところが開発は進まず、駅に至ってはもともと建設予定すらないことがわかりました。 これでは騙されたも同然だと思うのですが、契約を解除できるのでしょうか?

2012/10/05 不動産 by admin

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新築マンションを見に行ったら、周囲には何にもなく、交通の便も悪く、とても生活しにくそうなところでした。
しかし、マンションの販売業者が言うには、このあたりはこれから開発が進む地域で、いずれ近くに駅ができるし、スーパーも病院もすぐにできる予定だと聞かされ、ローンを組んで購入しました。
住み始めて1年が経ちましたが、スーパー・病院なんてできる気配もなく、駅に至ってはもともと建設予定すらないことがわかりました。
これでは騙されたも同然だと思うのですが、契約を解除できるのでしょうか?
マンション購入後、マンションの付近には駅、病院・スーパー等ができ、利便性が高くなるといったマンションの環境条件は、マンション売買契約において消費者契約法にいう「重要事項」に当たると考えられます。
したがって、駅等の建築計画がないことにつき、販売業者の認識の有無にかかわらず、重要事項の不実告知として、同法4条1項1号に基づき売買契約を取り消すことが出来ますし、販売業者が、環境条件が整わないことを知りながら、あなたを騙してマンションを売却したのであれば、詐欺により売買契約を取り消すことが出来ます(民法96条1項)。
また、あなたは、販売業者から駅等が建設されるとの情報を提供されたことで、環境条件が整うことを購入のきっかけとしたのですから、環境条件が整うことが本件売買契約の重要な要素となりますので、錯誤無効の主張もできます(民法95条)。
さて、売買契約を取り消しますと、同契約は、契約締結時にさかのぼって無効となりますから、販売業者は、受け取った代金を返還し、あなたは、購入したマンションを返還することになります。
なお、消費者契約法上の取消権は、あなたがマンションの周囲の環境条件が整わないことに気づいた時から6か月で時効消滅し、あなたがマンションの周囲の環境条件が整わないことに気づいていなくても、契約締結時から5年間で時効消滅します。
これに対し、民法上の取消権は、あなたがマンションの周囲の環境条件が整わないことに気づいた時から5年間で時効消滅します。


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神奈川県弁護士会・港都綜合法律事務所