父が生前に兄に出資したお金についても遺産分割できますか?

2012/10/04 相続・遺言・親族 by admin

特集法律相談例遺言・相続・親族の法律相談例

父が亡くなり、遺産分割の協議が始まりました。
私には兄が一人いて、兄は父の生前に、事業に必要な資金として200万円を父に貸してほしいと頼み、出資してもらいました。
私は兄にその200万円を返済してもらったうえで、遺産分割をしてほしいと思いますが、兄は「200万円は親父は返さなくていいと言った。」と言い、返済するつもりはないようです。
200万円に関して、やり取りの書面などもなく、今となっては、父の真意もわかりません。
この場合、兄は得するように思えるのですが、法律的にはどうなのでしょうか?
被相続人の生前に、相続人が財産を譲り受けることを特別受益といいます。
本件では、被相続人である父が、相続人である兄に対し、生前、事業に必要な資金として200万円を提供しているのですから、まさにこの特別受益に該当します。
そして、特別受益とされる財産は、相続人間の公平を期すために、相続財産に戻されたうえで、受益を受けた相続人の相続分から控除されることになります(民法903条1項)。
したがって、本件では、200万円が父の相続財産に加算され、その額を兄妹とその他の相続人で相続分に従って分割し、さらに兄の相続分から200万円が控除されるということになります。
結局のところ、兄は得をすることにはならないのです。

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神奈川県弁護士会・港都綜合法律事務所