離婚

離婚手続の流れ

協議離婚

原則として、夫婦が、裁判所の仲裁を必要とせずに、お互いの話し合いにより婚姻関係を解消することに同意し、離婚届を提出すれば、離婚は成立します。

調停離婚

夫婦の一方が離婚に応じないときや、離婚は決まっても財産分与や親権問題などについて折り合いがつかないときに、家庭裁判所に申し立てをして離婚調停をしてもらいます。
※この調停も裁判の一種ですが、あくまでも双方の事情をよく聴いた上で話し合いによる解決を図ろうとしている点で、地方裁判所における厳格な手続を要する裁判とは異なります。

調停の成立

話し合いの結果、相手方の離婚の同意が得られた場合や、双方が諸問題に納得がいった場合など、調停が成立すると、この点で離婚が成立します。(家庭裁判所はこれに基づいて離婚の調停証書を作成しますが、この証書は地方裁判所で離婚請求が認められた場合の判決と同じ効力があります。)

調停に代わる審判

何度も話し合いをしても双方が激しく対立し、合意が得られない場合、これは調停不成立となりますが、離婚という方向でお互いがほとんど納得しているにもかかわらず、わずかの点で合意できないというような場合があります。
このような場合は、家庭裁判所は職権によって、いずれかの当事者の意思に反して離婚を決めてしまうことができます。
これを「調停による裁判」といいますが、同時に財産分与や親権問題についても裁判所は処分できます。(この裁判所の審判にも、地方裁判所での判決と同じ効力があります。)

離婚訴訟

家庭裁判所での調停が不成立に終わった場合、初めて地方裁判所に離婚請求の提訴ができます。
(同時に、財産分与・慰謝料・養育費の支払請求もできます。)

離婚理由

協議での離婚の場合は、お互いが自由に離婚できるので、何ら離婚の理由は問われないのですが、裁判所で離婚の訴えを提起する場合には、相手が離婚に同意していない以上、離婚を認めてもやむを得ないという理由が必要になります。

  • 配偶者に不貞行為があった場合
  • 配偶者から悪意で遺棄された場合
    夫婦の同居・相互扶助義務に何ら理由もなく違反し、配偶者を顧みない場合。
    例:生活費を渡さない。暴力を振るう。
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでない場合
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合
  • その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

和解手続

地方裁判所の審理においても、裁判所の職権または当事者の申し立てにより、和解手続に入ることができます。
これは、裁判長が双方から事情を聴き、話し合いによって解決を図ろうとするもので、家庭裁判所での調停手続が地方裁判所で行われるようなものです。
この和解手続によっても双方の合意が得られない場合には、やむを得ず判決ということになります。

訴訟費用

離婚請求を提訴する場合には、手数料として相当額の印紙が必要になります。
この印紙額は、訴訟で何をどれだけ請求するかによって異なります。

離婚の際の金銭問題

財産分与

離婚の際には、通常、財産分与の請求がなされます。夫婦がその協力によって得た財産の額、その他一切の事情を考慮して、分与させるかどうか、分与の額、方法などを定めることになります。
財産が夫の名義であろうと、妻の名義であろうと、または共有名義であろうと、その実質を考えて財産分与が行われます。

慰謝料

財産分与とは別に、離婚の原因を作った相手方に対して、精神的苦痛を受けたことに対する慰謝及び損害を賠償させるものです。
これは、離婚の際に、どの程度の精神的苦痛があったかを考慮し、これを金銭での支払いに換算します。

離婚の際の子どもの問題

氏の変更

両親が離婚した場合、子の氏は自動的には変更されず、夫の氏のままにいることもできますが、家庭裁判所の許可を受けて、たとえば母が元の氏に戻った場合はそれに変わることもできます。

子の親権者

離婚の際、子が未成年の場合には、どちらか一方を親権者と決めなければなりません。
これを離婚届に記載しないことには、離婚届は受理されないことになります。
※親権者の変更については、子の利益のために他方の親が親権者になったほうが適切という場合に、家庭裁判所によって行われます。

養育費

養育費とは、未成熟の子が社会人として独立するまでにかかる、生活費、教育費などをいいます。
離婚した場合、どちらが親権者であるかということにかかわりなく、子の養育費は両親双方が負担します。

離婚に関するQ & A

婚姻によって氏が変わっていた場合は、離婚によって自動的に元の氏に戻りますが、それを離婚の際に称していた氏のままでいられますか?
離婚届を提出する際、もしくは離婚届を提出してから3ヶ月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届」という書類を提出すれば、離婚後も離婚の際に称していた氏のままでいられます。
夫が外に愛人を作り、家を出てしまい、妻とは別居状態にあるというような場合、このように自ら婚姻関係の継続が困難となるような状態を作った有責配偶者である夫からでも、離婚の請求はできるのでしょうか?
このように、夫が身勝手な行動をし、その夫からの離婚請求が認められてしまえば、妻の地位は極めて不安定なものとなりかねません。よって、原則として、有責配偶者からの離婚請求は認められないとされています。ただし、実際に、婚姻関係が長い間破綻し、夫婦としての生活が全くないような場合は、その破綻している期間などを考慮して、有責配偶者からの離婚請求も認められる余地があると思われます。
夫が浮気をしてそれが原因で離婚ということになった場合、夫自身に慰謝料請求ができると同時に、その浮気相手の女性にも損害賠償請求ができるのでしょうか?
妻のある人であることを知りながらも、不貞行為の相手方となった場合、どちらから働きかけたに関係なく、その女性は婚姻関係を破綻させた共同不法行為者として、損害賠償の責めを負います。

神奈川県弁護士会・港都綜合法律事務所